10月1日 いろいろな国の人々やその生活に触れるたびにいつも感じるのは、日本は恵まれた国だなぁ〜という事。 日本で生まれ育った僕らにとっては当たり前な事も他の国へ行けばとてつもなく特別な事だったりする。 そんな中で力強く生きていく人達がいた。 カトマンズからバスで90分の所にあるナガルコットを訪れた際、2人の男性に出会った。
ヒマラヤを臨む高い丘(標高2,100m)の上にあるナガルコット。 ただゆっくりと時間が流れているこの小さな田舎町では、町の喧騒は感じられない。 ここナガルコットの名物(日本人の間で)にノリタケコーヒーショップというお店(詳しくは写真のコーナーへ)がある。 オーナーのおじさんが木梨憲武に似ていると言う理由でこの名前が付いたと言うのだが、実際会って見ると本当にそっくりでビックリ!(笑) それだけでも日本人が集まりそうなものだが、オムライスにカレーに親子丼・・・・どれを食べても美味しくて値段も安い! 僕たちも毎食ノリタケコーヒーショップにお世話になった。
若い頃ホテルの厨房で働いていたネパールのノリタケさんは、家族を養っていく事が出来ないくらいの安い給料しかもらえなかった。 そこで一念発起し、知り合った日本人の協力を受けこのお店を一から手作りで始めたそうだ。 今でこそナガルコットの名物店と言われるくらいになったお店ではあるが、そこにはノリタケさんの人生を変えようとするパワーと大変な努力、それをサポートしてきた人たちの力があったのだ。
ナガルコットでお世話になった宿(ホテル・エレファントヘッド)の従業員タジーは22歳。 ナガルコットで生まれ育った彼は家を出てこのホテルに住み込みで働いている。 英語が流暢なのにもかかわらず、「僕の英語なんてまだまだ。ここでがんばってお金を貯めたらカトマンズの私立学校で勉強したい。」と向上心旺盛。 妻・ユキがアイルランドに4年間住んでいた事を聞くと、「自分にはお金が無いからそういうことは出来ないなぁ。 だけど英語を勉強して英語がしゃべれればしゃべれるほどビジネスの幅が広がるからがんばるんだ。 自分のゲストハウスを持つのが夢だからね!」っと熱く語った。
旅行者と接する仕事をしている為、欧米人達がどのような環境で生活しているかを知っている彼は「僕はここで生まれたんだからここで死ぬよ」と言った。 それは先進国の人達に対しての劣等感や羨望する気持ちから出た言葉ではなく、自分の生まれ育った環境をはっきりと認識した上で生き抜いていく強い覚悟の言葉のように思えた。
彼がもし日本に生まれていたらどんな人生を送ったのだろうか?とフト思った。 彼ほど自分の力で人生を掴み取ろうとするパワーに溢れている日本人がそうそういるだろうか? なんとなく普通にやってればそれなりに生きていける日本。 だが、たまたまこのナガルコットで生まれた彼は普通にやっていても十分な教育を受けることすら出来ない。 大志を抱きながら自分の力で生きていく彼。 それに引きかえ自分の学生時代はひどかったなぁ〜っと、しきりに反省したのだった。
仕事を辞めて旅に出た僕らは、ある意味モラトリアムな時間に戻ることが出来たのかもしれない。(年齢的にはいってしまっているが・・・・苦笑) 帰国後、大変な苦労が待ち構えていることに変わりはないが、改めて色々な事を一から選択できるというのは僕にとっては意味がある。 たくさんの人と出会い、未知なる経験をいっぱいして日本に帰ったら思いっきりがんばってやろう! 彼らの姿を見て強くそう思った。
【寿夫 2004.12.29 筆】