Day5 8:10 ヒマラヤホテルを出発。 今日の目的地はアンナプルナ・ベースキャンプ! 今回のトレッキングの最終到達地点だ。 自然と力が入る。 9:30 デオラリを通過。 しばらく歩くと右手にマチャプチャレがドドーン!っと見えた! ポカラから見た時はあんなに遠かった頂が目の前にぃー!! いやが上にも興奮してしまう。 しかしここで体に異変が起きてる事に気が付いた。 息が上がり、思うように先へ進めない。 高山病だ。 チベットのラサで高山病になり一度順化していた為、今回は大丈夫だと思っていたが甘かった。 次第にペースが遅くなりだす。 しばらく進むとアンナプルナ・ベースキャンプから降りてきた人達とすれ違い始めた。 中に日本人がいたので感想を聞いてみると 「あの景色は本当にスゴイです! めちゃくちゃ良かったっすよー!!」っと目を輝かせて話してくれた。 これを聞いてテンションが上がらない訳はない! 俄然ヤル気が出る。 11:30マチャプチャレ・ベースキャンプに到着すると僕らよりも先に出発していたボブ&スーキーが休憩していた。 ボブが言う「今日はトレッカーが多いみたいなんで早く行かないとアンナプルナ・ベースキャンプの宿がいっぱいになるかもしれない。 僕らのポーターが先に登って行くんで2人の宿も予約しておこうか?」 確かに登ったものの宿がいっぱいならまた下りてこなくてはならない。 僕たちはボブとポーターにお礼を言って予約をお願いする事にした。 昼食をとり12:15再び登り始める。 緩やかな登り坂だが高山病の影響もあってなかなかペースがあがらない。 突然、僕らの歩いてきた斜面の下から霧の様な雲がすごい勢いで上がってきた! 視界が悪くなり一気に気温が下がる。 慌ててジャケットを着る。 標高が4,000m近くに達すると、軽く手足がしびれる様な感覚を覚えた。 酸欠の症状だ。 一歩ずつ進むしかない。 目的地は目の前だ! 13:50 ついにアンナプルナ・ベースキャンプに到着!! 後ろを振り返るとすべては雲に覆われており、僕らの立っているベースキャンプは雲の中にぽっかりと浮いているようだった。 凄い景色だ。 この時アンナプルナとマチャプチャレは雲に包まれ見えなかった。 ボブ&スーキーに迎えられ宿に行く。 暖かいチャイを飲んでくつろいでいると2人の日本人がやって来た。 1人はサムイ島でダイビングのインストラクターをやっていた裕一朗くん。 もう1人は世界中を旅するベテランパッカーのマサキくん。 2人ともそれぞれ単独でのトレッキングだ。 こんな山の上で日本人に会えるなんて思ってもみなかった為、自然と旅談議で盛り上がる。 夕食を終えた後、外に出るとそこにはとてつもない大絶景が広がっていたっ!! ここ、アンナプルナ・ベースキャンプは標高が4,130mあるにもかかわらず360度、6〜8,000mクラスの山々に囲まれている。 濃紺の空にそびえ立つその山々が月明かりに照らされ青白く浮かびあがる光景に鳥肌が立った。 この旅で見たどの景色よりも凄かった。 凄すぎて言葉が出なかった。 これぞ人間の力の及ばない大自然の姿。 ダイニングにいた欧米人たちも外に出てきて、ただ呆然と立ち尽くし山々を見上げていた。 凍て付くような寒さの中、誰もその場を離れようとしなかった。
Day6 まだ暗いうちに部屋を出る。 一歩間違えば深い谷に真逆さまと言うような崖の上を慎重に歩き、氷河の近くまで登って行った。 辺りが朝日に照らされる。 朝焼けに赤く染まるアンナプルナの姿は美しく、夜とはまた違った姿だった。 いつまでも眺めていたいような景色だったが、今日は下山しなければならない。 宿に戻って朝食をとり、8:30アンナプルナ・ベースキャンプを後にする。 真っ青な空と白い山々に囲まれた緩やかな下りを歩く。 後ろを振り返るとアンナプルナの綺麗な頂が僕らを見送ってくれていた。 後ろ髪を引かれるような思いで急いで山を下る。 登ってきたのと同じルートだが、下りは早い。 12:20ヒマラヤホテルに到着。 しばし昼食休憩。 13:10に再び歩き出すと雲が低く垂れ込みだんだん暗くなってきた。 そして雨・・・。 雨はあっという間に土砂降りになり、足場が悪い事もありペースが遅くなる。 ずぶ寝れでバンブーに着いたのが15:30。 本当は1つ先のシヌワかその先のチョムロンあたりりまで行きたかったが、この雨では難しいと判断。 登りの時にもお世話になったバンブーゲストハウスに泊まる。 宿にはドイツ人のおじさん二人組とイスラエル人の二人組が泊まっていたため、夜はロキシーを飲みながら楽しく時間を過ごした。
Day7 9:00にバンブーを出て下って行く。 順調に歩いていけたのはシヌワまで。 その先で前日同様、大雨にあう。 途中、雨宿りをしながら進んで行くが、雨は一向にやむ気配がない。 13:00チョムロンについた時点で先に進むのを諦め早々にチェックイン。 濡れた服を洗い、風呂に入り、昼食を食べてゆっくりしていると変なおっさんがうろついている事に気が付いた。 「なんかダサイ服やなぁ〜。 メガネも太〜い黒ぶちで牛乳瓶の底みたいやし、大村コンみたいじゃない?」っと妻・ユキと話していると、その大村コンが近づいてきた。 気持ち悪かったので目線をそらし無視していたのだが、今度は僕の真横に寄り添いしゃべりだした。 「ハロー。 どこから来たの?」 「アンナプルナにはどれくらいいるの?」 最初は関わりたくないと思い聞こえないふりをしていたのだが、あまりにしつこく聞いてくるので仕方なくユキが答える。「7〜8日間くらいかなぁ〜。」 すると大村コンはギョロ目を見開き、黒ぶちメガネを人差し指でぎゅっと持ち上げてこう言った。 「私たちはマオイストです。1日1人100ルピーで7日で700ルピー、2人で合計1,400ルピー(¥2,800)今すぐ支払ってください。」 な・・・なんだとぉ!! このキモイ版大村コンがマオイストだとー!? マオイストと名乗って金を請求するアホな偽者がいるという話も聞いていたので、僕は絶対に偽者だと思った。 「マオイストならその証明証を見せろ」 と言うと 「そんなものはない。 このレシートがマオイストの証拠だ早く払え」 の一点張り。 どうしたら良いかユキが宿のオーナーに聞きにいくと、「すいませんが、彼らは本物のマオイストですから早くお金を払ってください」っと迷惑そうに言うではないか! 後でわかったのだが、宿は宿でマオイストに定期的に大金を要求されるらしく、反抗しようものなら銃を使って騒ぎを起こされるらしい。 みんなマオイストにビビッて顔色を伺っているのだ。 マオイスト、宿のオーナーと一緒になって別の町で既にマオイストにお金を支払った欧米人も 「マオイストなんだから早く払ったら?」っと言う始末。 それでも「なんでニセモンかもしれんこんなチンチクリンのクソガキにそんな大金払わなあかんねん!」っと断固拒否をする僕。 途中、「早く払って下さい」と言って腕に触れようとしたキモイ版大村コンの手を思いっきり振り払い「俺にさわるなぁーーーっ!」っと激怒!! (今思えばマオイストは銃を持っていたはずなのに・・・・おぉ〜怖ぁ〜。) その後もお金は払わないと抵抗をするもラチがあかない。 最後はユキが交渉した結果、1人500ルピー、2人で1,000ルピー(¥2,000)支払う事になった。
他のトレッカーの話では1人1,000〜1,200ルピーが相場ということなので、僕らは比較的安くですんだのかもしれない。 しかし、僕らのお金でマオイスト達が武器を買って悪い事していると思うと腹が立つ! 警察もちゃんと取り締まればいいのに!! って文句を言っても後の祭りなんだけど・・・。
Day8 8:05チョムロンを出発。 急いで急斜面を降りきる。 今日の目的地はガンドルン。往路では通っていない町だ。 ジヌーの先で来た時と違うルートへ行くために、すれ違う人や村の人達に道を聞きまくり進んで行く。 何度も間違えながら歩いて行くと向かいの山の上にガンドルンの建物が見えた。 そこからが長かった。 川を渡り恐ろしい標高差をひたすら登り続ける。 最後の登りだと自分に言い聞かし力を振り絞って歩く。 12:00何とかガンドルンへ到達。 このガンドルンという町、グルン族が多く住む村で興味深い町だと聞いていたのだが、町は寂れており宿も何件か潰れていた為に宿探しが大変だった。 やっとの思いで辿り着いたのがミランゲストハウス。 ホットシャワーが故障していたためにお湯をバケツに入れてもらいシャワーを浴びる。 夕方、フランス人の団体がこの宿にチェックイン。 おかげで宿は賑やかになり、夜は飲めや歌えや踊れやの大賑わい。 トレッキング最後の夜を満喫して就寝。
Day9 8:30みんなに遅れてミランゲストハウスを出発。 ガンドルンの町を抜けると緩やかな下りがひたすら続く。 下りは楽なんだけど、やっぱり膝にくる。 景色も変化がなくなりダラダラとした下り坂に疲れてきて少しダレ気味に。 それでも「山を降りたら美味いモノがいっぱい食べれる!!」 っという一心で疲れた体にムチを打つ。 まさに馬に人参状態だ。 12:15ついに麓の村ナヤプルに到着。 タクシーを拾いポカラの宿に着いた時には、トレッキングを完遂した達成感と無事に帰ってこれた安心感で本当にうれしかった。
トレッキングをする前から無事に帰ったらフレッシュフルーツシェークのお店で乾杯しよう♪と決めていたのでバナナシェイクとパパイヤシェークで祝杯をあげる。 そして9日間食べる事の出来なかった肉と新鮮なサラダを食いまくった。
ポカラの宿のベランダからはマチャプチャレとアンナプルナの姿が見えていた。 「あ〜あのすぐ麓に僕らは居たんだなぁ。 スゴイ景色だったよなぁ〜。 ホント良く歩いたよなぁ〜。 」っと2人で話しながらいつまでもその姿を眺めていた。 こうして僕らの9日間に及ぶ大冒険 「アンナプルナ・サンクチュアリ トレッキング」は幕を閉じたのだった。
【寿夫 2005.3.20 筆】